からだの構造統合法
(S.I. : Dr. Ida P. Rolf method of Structural Integration)

からだのことをあまり知らない人に、そしてオーバーホールにも。

 からだのことをあまり知らない、ボディーワークは始めて、という人には、まず初めにからだの構造統合法がお薦めです。

姿勢の変化

 長年の癖や怪我で歪んだ「からだ」をリセットします。姿勢の悪さを改善したい人には、最適です。比較的簡単で、基本的なことから分かりやすく学べます。腰痛、肩こり側湾、など身体的な問題を抱えている人にも、大きな改善が見込めます。からだの変化も比較的長続きして、定着させやすいです。

 もちろん、からだの事はよく知っているひとにも、基本に立ち返る意味から、そしてオーバーホールとしてとっても役立ちます。


唯一肌に直接触れてワークする

 Somatic Education の中で唯一肌に直接触れて、圧力を加えて 痼りをほぐしたり、縮んでいる所を緩めて伸ばしたり、癒着を剥がしたりといった 直接的な介入をします。そうやって、からだの構造を整えて、より楽でより美しい姿勢や動きを作っていきます。初心者には特により分かり易く、変化も比較的定着しやすいです。

 直接肌に触れるために、下着姿かセパレートの水着などでワークするのですが、その大きなメリットが二、三あります。

  • 一つは、自分自身のからだの構造がとっても分かりやすいこと。「へ〜ここが股関節やったんか〜」「こんなとこに骨があったんや!」ということも多いです。
  • 二つ目は、脂肪、筋肉のつき方、皮膚のシワが分かりやすいこと。それは普段のからだの使い方をはっきり示してくれます。
  • 三つ目は、皮膚の状態が確かめられ、またそれにワーク出来る事です。特に傷跡は見栄えの外に皮膚や筋膜のひきつれを起こし、動きや形に影響を及ぼしています。このワークは傷跡の回復にとても良いと定評がありますが、例をお話しましょう。
     ある色白の女性の話です。ワークする何年か前に電車とホームの間に嵌って、両脛を怪我したそうです。傷は一応治って、ケロイド状に傷跡が 5mm 幅で 20cm 位残っていました。それにワークすると、半年後には白い線が一本あるかないかで、ほぼ判らないぐらいに綺麗になりました。また、別の女性は帝王切開の縫い跡が紫色に腫れて物に触れるととても痛かったと云う事でしたが、ワークの後、色は薄くなり、痛みもほぼ無くなったそうです。


マッサージのようでマッサージでない。整体やカイロともぜんぜん違う。

 肌に直接触れてワークするので、一見マッサージのようにも見えるのですが、圧の掛け方も手腕の動かし方もかなり違います。そして、その意図が全然違うのです。マッサージはどちらかと云うとリラクゼーションや疲労回復といったものでしょう。からだの構造統合法 では、からだのバランスを整えることや、からだ自体や、そのより良い使い方を学ぶことを援助することです。

 整体やカイロとの違いの一つは、からだの構造として何を考えているかです。例えばカイロでは、体を支える背骨を直接動かして体を整えようとしますが、からだの構造統合法では、その骨の位置を決めている筋膜に働きかけます。テントで例えれば、テントのポールが骨(背骨)で、それをあるべき位置に留めるロープや布が筋膜なのです。想像してみてください。テントをバランスよく張りたければ、ポールをしっかり立てることも大事ですが、そのためにもロープを上手く調節することが絶対に必要なのです。


単なる治療ではありません。

 鞭打ち、脊椎側湾症、腰痛、肩こり、などによく効くというので、海外では保険が適用される所も在りますが、実は「からだの構造統合法」は単なる治療法ではありません。より上手く からだ を支える事が出来るようになると、自然に腰痛や側湾は改善していったり、からだの使い方 により気づくようになると、肩が凝らない様な手腕の使い方を身に着ける事も出来るのです。鞭打ちは少し複雑ですが、からだの使い方を改善していく延長線上に解決の糸口があります。

 からだの構造統合法 は悪くなった所を治す(元に戻す)ことより、今の状態を理解して、より良くしていくことに取り組みます。問題のある部分を治すと云うより、その問題に関わるからだ全体を関連づけられた総体として扱います。例えば腰痛の時、腰だけでなく、それに関わる全てを扱います。それは、からだの部分で言えばお腹であったり脚であったり、座り方の癖であったり、からだの支え方であったりします。

 そうすると、以前より良くなるばかりでなく、楽になり、出来る事が増えて、と 生活に人生に大きな変化をもたらすのです。


長持ちどころか、変わってしまう

 問題が改善した時、「どれぐらい保つの?」というのがよく聞かれる質問です。色々な治療に通ってこられたみなさんにとっては、ある意味元に戻るのが当たり前なのでしょう。治療は治すのが大事で、なぜその問題が現れて来たのかを遡って深く考えて対処しないので、問題を自ら作り出している時は(多くの繰り返し起こる問題は特に)治ってもまたすぐに元に戻ってしまうのは当然と言えるでしょう。

 からだの構造統合法 では、「治療」と云うより、「教育」です。自分自身の からだ について学んで、理解を深めていく中で、いったい自分自身は何をしているのか、何を感じているのかが少しずつ分かるようになって行きます。そして、より楽で、気持ちの良い使い方を身につけて行く事が支援されます。それは則ち、問題を引き起こさない様な からだ の使い方が自然と身につくことなのです。

 時に、時間が経って振り返ってみたなら、思いもよらなかったような大きな肯定的な変化に気づく事でしょう。痛みや不調に気を取られていたのが、問題の解決だけでなく、生活を楽しんだり世界を広げたりと、人生の大転換が始まっていたことに気づくかもしれません。


シリーズとして学びを積み上げていきます。

 初めての人用のベイシックシリーズは10回セットです。毎回異なったテーマでワークして、徐々にからだを整えて行きます。Somatic Educationでは、それを維持して育てて行けるように、簡単なエクササイズや、からだの使い方のコツを教えます。

 一回目をお試しにする事も出来ます。所要時間は各回1〜1時間半程度。初回はもう少し長めに見ておいて下さい。それが終わった人はしばらく開けて、ポスト10セッション(3〜7回)、アドバンスシリーズ(5回)があります。一まとまりとして受けるのが良いですが、単発のチューンアップセッションも出来ます。

進め方。

  • 基本のコースは10回。(初回のみのお試しもできます。各回1〜1時間半程度。)
     毎回違う意図のもとにワークします。ある決まった順序で、無理なく系統的に進めていきます。Somatic Education では、それを維持して育てて行けるように、簡単なエクササイズや、からだの使い方のコツを教えます。
    • 1〜3回目、表層のワーク。表層の筋膜にワークして、内側を動きやすくしたり、骨盤を立てる、直立するための取り組みの始まり。
    • 4〜7回目、深層と顔のワーク。内腿から骨盤底、お腹や背中とハムストリングといったコアにワーク。そして、頭をちょうどよく載せる。身体についての理解も深まり、より直立しやすくなる。顔は、溜まった緊張が取れ別人のように穏やかで若々しくなることが多い。
    • 8〜10回目、統合のワーク。軸と四肢のバランスをとったり、中心からの動きを導く。そして総まとめ。
    • 必要に応じて半年に一度3〜7回のポスト10シリーズのフォローアップや、その先には5回セットのアドバンスシリーズも有ります。
  • 毎回まず、全身を観察。どんな風に立ってるか、全体の中での部分部分の偏り歪み。歩き方、必要なら、問題を感じている動作などを見る。
  • たいていは、テーブル上に寝転がったところからワークが始まります。
  • マッサージの様でマッサージでない。(下着かセパレーツの水着姿)
    • まず、始め直接的に(手技によって)それまでに溜まった歪みを解消する。これだけでもかなり快適になります。
    • 筋肉や筋膜のコリをほぐしたり癒着を剥がしたりする事することから始めます。
    • 緊張が減り、同時に からだ が感じやすくなっていきます。
    • ある程度ニュートラル(偏りの少ない)な状態になるので、本来楽な姿勢が「楽」と感じられるようになります。
  • 同時に、直接からだに触れたり動かしたりしながら、からだの仕組みについて、具体的・体験的に理解を促します。そうすると、意外なほどに無理な動きが減って問題を起しにくくなります。
    • 具体的な構造の知識(簡単な骨格や筋肉)、
    • 全体的なつながり、
    • どんなふうに動くかを体得する。
  • 各回1〜1時間半程度。週に一回から二回が理想的。場合によってはもう少し間隔を空けることも可能です。ご相談ください。

学びと役立つこと。

  • 姿勢が劇的に変わります。
     姿勢が劇的に変わります。簡単な、からだの構造や動きが自然と理解できます。
  • はじめの一歩として、効果抜群。
     基本の10回コースから始めます。マッサージの様にも見えますが、内容は全然違います。各回およそ1〜1.5時間、長くて2時間程度。
  • 日常最もよく使う姿勢と動作、立つ・座る・歩くことを例に、より楽で効率的なからだの使い方を学べます。
  • からだの構造やしくみが、自然とわかって来ます。
     ワークの時にからだを動かしたり、押されたり、説明されたりしながら、これまで、知らなかったからだの構造やしくみが、自然とわかって来ます。わかればわかる程、からだが楽になり、そしていい姿勢、いいからだの使い方が身に付いて来ます。
  • からだ全体をより詳しく知り効果的に使うことを学べ、感受性をより高めることができるので、常に快適で問題も引き起こさない生活を定着させることに繋げられます。

その他のメリット。

  • 途中痛かったりもしますが、終わってみると思いのほかすっきりして、他では味わえない感じに気持ちよかったりします。おまけに背が高くなっていたり、ビックリするほど猫背が伸びていたり。脚がきれいな形になっていたり。7回目のときはビックリするぐらいいい顔になって、皮膚もきれいになっていることがほとんどです。
  • 傷跡や縫い痕が目立ちにくくなります。ひきつれも改善します。
     傷跡や縫い痕は、ひきつれを伴って、時に動きに影響しますが、上手く癒着が剥がせると動きの制限が減り、意外なほどに目立たなくなる事も多いです。また、傷跡に閉じ込められていた、恐怖心やトラウマも解放される事があります。
  • 自分で取り組み易い。
     座り方とか、ちょっとしたエクササイズも教えられるので、自分で取り組み易いです。それを続けると、良くなった姿かたちを維持しやすくて、上手く続ければ、より良くなっていきます。
  • 番外編
     番外編として、筋肉に閉じ込められていた感情や記憶が解放されて、古い記憶が蘇ったり、変な夢を見たりという事も時にあります。UCLAの研究(ハントスタディー)によると、オーラフィールドが大きくなり、チャクラも活性化するそうです。これをメインに捉える人もいます。

プロスポーツ選手や医師にも推薦されています。

  • Brian Orser, World Champion Figure Skater(フィギヤースケートワールドチャンピオン)(G.S.I.サイトからの引用
    “After my Structural Integration sessions it was great to experience total effortlessness and lightness, but at the same time feel compact and totally in control. I had increased energy, and skating took less effort. I found I had extra agility. My balance was better when doing turns on the ice.”
     私は からだの構造統合法(Structural Integration) を受けたあと、全く力む事の無い楽で軽い、同時に無駄なく完璧にコントロールされた滑りを体験しました。 エネルギーが増えて、滑りに必要な労力がより少なくなり、より敏捷になりました。氷上のターンの時にもバランスが良くなっていました。)
  • Tim Thackery, US National Taekwondo champion(U.S.AのG.S.I.から引用
    Structural Integration has given me a better presence than my competition. My posture has dramatically improved. My stance is firm. Not only has Structural Integration given me a mental advantage, it has increased my breathing capacity, improved my range of motion and I am more flexible. These are all qualities critical to becoming a winner in the Taekwondo sport.
     からだの構造統合法(Structural Integration)のお陰で競争相手より、より良い存在感が得られた。姿勢は劇的に改善した。構えも強固で安定している。からだの構造統合法は精神的な強みを与えてくれたばかりか、呼吸の容量も増えたし、可動域も広がり、より柔軟にもなっている。テコンドーというスポーツにおいて、勝者になる為に、こういった質が決定的に重要だ。)
  • 小竹先生(30代整形外科医)から。

    まず初対面の時の会話で、寛先生の解剖的な知識がしっかりしていることに安心しました。
    民間療法の中には、近代的な医学と根本的な思想体系が異なることを 悪く言えば隠れ蓑にして、明らかに勉強不足な方や 実証性のなさそうな方法論をとる方がままありますが、(もちろん近代医学の多大な問題点や僕自身の不勉強を棚に上げての話です)
    寛先生とは当初から多少の用語の摺り合わせをするだけで、医者仲間で会話するようにスムーズに体にかんする情報交換が可能でした。
     これはご本人の能力や努力もありますが、 今まで受けてこられたS.I.(からだの構造統合法)をはじめとする教育体系と その後に多くの体と関わってきた経験量が、 質量ともに相当なものであったことをあらわしていると思います。
    まずはその点で、偉そうな言い方になりますが、信用できたというのが第一印象です。

     医者はいちおう体の専門家ですが、 実は、本格的に壊れた状態を何とかすることから発展した体系ですから、 体のよりよい使い方やより健康な体を作ることについては、 ほとんどなーんにもわかっていません。
    基本的に現代医学は体への侵襲が大きいものですから非常時用のものと考えるべきです。乱暴なたとえをするなら、ひったくりに軍隊を呼んで ミサイルで町ごと吹き飛ばされたら困るわけで、 日常の治安維持には交番や地域住民の取り組みが大切になる、というような話と似ています。
    具体的には、膝痛の場合整形外科医が最も力を発揮するのは 変形が進んで痛くて仕方ない高齢の方に、人工関節をする場合であり、 逆にそれほど関節の変形が進行していない40台ぐらいの女性が 時々膝の痛みがあるといってきたというようなときには 今後の進行を防げるような体の使い方が必要ですが、 医者にはその具体的な方法論がないわけです。 そういう半健康状態の方に有効な方法を探していくなかで寛先生のHPを見つけたわけです。

     また横道にそれましたので本題のワークに戻りますが、よいからだとよい動きを作るにはまず自分の体をしっかり把握しなければいけませんが、それが困難を極めることがこのワークでよくわかります。
     まず人は自分がどう立っているか分かっていません。結果として変な癖を常態化しており、それがワークの中で次々に暴かれ改善していきます。

     たとえば私の場合数回目のワークでいきなり目線の高さが変わりました。具体的には私は身長177センチですが、JR環状線で扉のガラスの前に立つと今までは普通に見えていた外の風景が目の高さがガラスの上端より上にきたために覗き込まないと見えなくなりました。もちろん数字上の身長はもともと精一杯伸ばした状態で計っているので変化ないはずですが、 実際の生活の中での背の高さが5センチ程度は変わったと思われます。
     同様に左右の偏りを動かした?回では、帰りの車の運転でいつもと頭の位置が違い対向車とすれ違うのにえらく苦労したりもしました。

     10回のワークを終えたころ冬になりスキーにいくようになりましたが 例年シーズンはじめは技術も体もできておらず、すぐに太ももがパンパンになり息もあがって 100m滑っては休憩という体たらくでした。それが今シーズンは、初日に約5キロある野沢温泉のスカイラインコースを1ストップで降りてきてしまいました。 技術も道具も去年のままですから体が変わったと考えるべきでしょう。
     ほかにもいろんなことがありましたが、今回はこのあたりまでにして 私自身さらに体探求に進みたいと思います。

 もっと読みたい人は、以前のページ、ロルフ博士の身体構造統合法(S.I.)も面白いかもしれません。他にもロルフメソッドや、ロルファーのサイトも参考になるかもです。しっかり行間まで読んで本質を見極めるのも一興と思います。
 ロルフ博士は「S.I.は治療ではない、教育だ。」と言っていましたが、Somatic Education の特徴もそこにあります。「耳は忘れ、目は移ろい、行えば悟る」です。ともかく、お試しください。